サバイバル思考術

ゼネコン大手4社の2024年3月期決算に見る建設業界の課題と戦略

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上場ゼネコン大手4社(鹿島、大林組、清水建設、大成建設)の2024年3月期決算は、全社が増収を達成した一方、3社が減益となりました。日経新聞の記事(大手ゼネコン24年3月期、鹿島が唯一増益 工事損失吸収)は、物価高騰や労務の逼迫、施工体制の厳しさ、さらに時間外労働上限規制の影響を反映しています。以下、業界全体が直面する課題と今後の戦略について掘り下げていきます。

直面する課題

1. 増収の背景と減益の原因

鹿島と大林組が過去最高の売上高を記録した一方で、清水建設は上場以来初の赤字を計上しました。これは、資材高騰や人件費の増加、研究開発費の増加が影響しています。特に、清水建設は大型民間建築工事における損失引当金の積み増しが響きました。これらの要因は、利益率の低下と直接結びついており、適正なコスト管理と利益確保のバランスが重要です。

2. 時間外労働上限規制の影響

4月に適用された時間外労働上限規制は、建設業界に大きな影響を与えています。各社とも、受注提案時に適正なコストと工期を確保する必要があり、「工期ダンピング」ができない状況です。この規制に対応するためには、効率的な労務管理と施工計画が不可欠です。

3. 採算重視の受注活動

全社が採算重視の受注活動を強化しています。特に、受注提案時には、利益を確保するための適正なコスト見積もりと、現場の労働環境に配慮した工期設定が求められます。これにより、長期的な利益確保とサプライチェーンの安定を図ります。

4. 働き方改革の推進

利益確保と並行して、働き方改革も進める必要があります。労働環境の改善は、労働者のモチベーション向上と生産性の向上に直結します。具体的には、デジタルツールの活用による業務効率化や、フレキシブルな勤務形態の導入が考えられます。

今後の戦略

デジタルトランスフォーメーションの推進

施工管理の効率化やコスト削減には、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が不可欠です。BIM(建築情報モデリング)やIoT技術を活用し、リアルタイムでの現場管理を強化します。

サプライチェーンの最適化

資材調達の最適化と供給網の安定化を図るため、サプライチェーンマネジメントを強化します。これにより、資材の安定供給とコスト削減を実現します。

持続可能な建設の推進

環境配慮型の建設プロジェクトを推進し、持続可能な建設(サステナブル・コンストラクション)を実現します。再生可能エネルギーの利用や環境負荷の少ない材料の使用を積極的に取り入れます。

まとめ

建設業界が直面する課題は多岐にわたりますが、適切な財務戦略と労務管理、デジタル技術の活用により、持続可能な成長を実現することが可能です。ゼネコン大手4社の決算を踏まえ、業界全体が効率的かつ持続可能な経営を目指すための取り組みを強化することが求められます。


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