サバイバル思考術

2024年版建設業DXの取組4つとその導入ステップについて

2024年版建設業DXについて サバイバル思考術
2024年版建設業DXについて
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近年、建設業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進んでいます。中小企業にとっても、DXは業務効率の向上や競争力の強化に欠かせない要素となっています。本記事では、2024年の建設業が取り組むべきDXの具体策とそのメリットについて詳しく解説します。

建設業DXとは?

まず最初にDXとは、デジタル技術を活用して業務プロセスを革新し、付加価値を生み出すことを指します。建設業におけるDXは、従来のアナログな手法からデジタル技術を取り入れることで、現場管理やプロジェクトの進行を効率化し、業務全体の生産性を向上させることを目的としています

DXの市場規模について

矢野経済研究所の調べによると
大手ゼネコン等におけるデジタル戦略やICT施工、現場の自動化・省力化技術などから、①自動化、②遠隔操作、③遠隔臨場、④ドローン活用、⑤建設用3Dプリンターの5つの技術について2024年の建設業DXの市場規模は、586億円規模であり今後6年で2倍以上の1250億円規模に成長するとのこと。

出典:建設現場DX市場に関する調査を実施(2024年)より
建設現場DX市場に関する調査

https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3553
出典:建設現場DX市場に関する調査を実施(2024年)より

なぜ建設業にDXが必要なのか?

建設業は、他の業界に比べてデジタル化の遅れが目立っています。以下の理由から、DXは建設業にとって急務となっています。

  1. 人手不足の解消: 労働人口の減少に伴い、効率的な作業が求められています。
  2. 品質管理の向上: デジタル技術を活用することで、品質管理が容易になります。
  3. コスト削減: 無駄な作業の削減や資材管理の効率化により、コストを削減できます。
  4. 競争力の強化: DXを導入することで、他社との差別化を図り、競争力を強化できます。

建設業DXの具体策

1. BIM(Building Information Modeling)の導入

BIMとは、建物の設計から施工、維持管理までを3Dモデルで一元管理する技術です。BIMを活用することで、以下のメリットがあります。

  • 設計の正確性向上
  • コミュニケーションの円滑化
  • コストと時間の削減

2. クラウドベースのプロジェクト管理

クラウドベースのプロジェクト管理ツールを使用することで、リアルタイムでの情報共有が可能となり、プロジェクトの進行状況を効率的に管理できます。

3. ドローンの活用

ドローンを使用することで、現場の状況をリアルタイムで把握し、測量や点検作業を効率化できます。

参考資料:国土交通省のドローン活用事例

4. IoT(Internet of Things)の導入

IoT技術を活用することで、機器や資材の位置情報をリアルタイムで把握し、効率的な管理が可能となります。

図解2: 建設業DXの具体策

DXの導入の5つのステップ

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、中小企業が競争力を維持し、業務効率を向上させるために不可欠なプロセスです。成功するDX導入のためには、以下の5つのステップが重要です。

1. 現状分析

現状分析は、DX導入の第一歩です。現在の業務プロセスを詳細に分析し、デジタル化が必要な部分を特定することが目的です。

具体的な手順:

  • 業務フローの可視化: 全ての業務プロセスをフローチャートなどで可視化し、現状の作業手順を明確にします。
  • 問題点の洗い出し: 各業務プロセスにおけるボトルネックや非効率な部分を特定します。例えば、手作業が多い部分や情報の共有が不十分な部分です。
  • データ収集: 業務プロセスに関連するデータを収集します。これには作業時間、エラー発生率、コストなどが含まれます。

ツールとリソース:

2. 目標設定

現状分析が完了したら、DX導入によって達成したい目標を設定します。目標設定は、DXプロジェクトの方向性を決定する重要なステップです。

具体的な手順:

  • 長期的なビジョンの設定: DX導入によって企業が将来的にどうなりたいのかを明確にします。例えば、「全業務の80%を自動化する」や「顧客満足度を20%向上させる」といった具体的なビジョンです。
  • 短期的な目標の設定: 長期的なビジョンを達成するために、具体的な短期的な目標を設定します。これには、1年以内に達成すべき目標が含まれます。
  • KPI(重要業績評価指標)の設定: 目標達成の進捗を測るための具体的な指標を設定します。例えば、作業時間の短縮率、エラー発生率の低減、コスト削減率などです。

ツールとリソース:

3. 計画策定

目標が設定されたら、具体的な計画を策定します。この計画には、どのような技術を導入するか、どのように進行するか、誰が担当するかが含まれます。

具体的な手順:

  • 技術の選定: 現状分析で特定した問題点を解決するために必要な技術を選定します。これには、クラウドサービス、IoT機器、AIツールなどが含まれます。
  • スケジュールの作成: DX導入の各ステップを具体的なスケジュールに落とし込みます。各ステップに必要な時間とリソースを明確にします。
  • 予算の設定: DX導入に必要なコストを見積もり、予算を設定します。これには、初期投資だけでなく、運用コストも含まれます。
  • 担当者の決定: 各ステップを担当する人を決定します。社内のリーダーシップチームや外部のコンサルタントを含めることもあります。

ツールとリソース:

  • プロジェクト管理ツール(例: Asana, Trello
  • 予算管理ツール(例: Loglass, )

4. 実行

計画が策定されたら、次はその計画に基づいてDXを実行します。このステップでは、計画通りにプロジェクトを進め、問題が発生した場合は迅速に対応します。

具体的な手順:

  • 技術導入: 選定した技術を実際に導入し、システムを稼働させます。これには、ソフトウェアのインストール、ハードウェアの設置などが含まれます。
  • 従業員の教育・研修: 新しい技術やシステムの使い方を従業員に教育します。研修プログラムを実施し、全員が新しいシステムに適応できるようサポートします。
  • パイロットテスト: 実際の導入前に、小規模なパイロットテストを行い、システムの問題点や改善点を洗い出します。
  • 本格導入: パイロットテストの結果を反映し、全社的にDXを本格導入します。

ツールとリソース:

  • テクニカルサポート(社内/外部)
  • トレーニングプラットフォーム(例: Coursera, LinkedIn Learning)

5. 評価と改善

最後に、DXの効果を評価し、必要に応じて改善を行います。これは継続的なプロセスであり、DX導入が目標を達成しているかを確認し、さらなる最適化を図ります。

具体的な手順:

  • 効果の測定: 設定したKPIに基づいて、DXの効果を測定します。これには、業務効率の向上やコスト削減、顧客満足度の向上などが含まれます。
  • フィードバックの収集: 従業員や顧客からのフィードバックを収集し、システムやプロセスに対する意見を取り入れます。
  • 改善策の検討: 収集したデータやフィードバックを基に、さらに改善すべき点を特定し、新たな計画を策定します。
  • 継続的な改善: DXは一度導入すれば終わりではなく、常に改善を続けることが重要です。定期的に評価を行い、新しい技術や方法を取り入れることで、さらなる効率化を図ります。

ツールとリソース:

DX導入の課題と解決策

DXの導入には以下の課題があります。

  1. コスト: 初期導入コストが高い。
  2. 人材: デジタル技術に精通した人材の確保が難しい。
  3. 抵抗感: 現場の作業員が新しい技術に対して抵抗を示すことがある。

解決策

  • 段階的な導入: 一度に全てを導入するのではなく、段階的に導入することでコストを分散します。
  • 教育と研修: デジタル技術に対する教育と研修を実施し、人材の育成を図ります。
  • 現場の声を反映: 現場の意見を取り入れながら導入を進めることで、抵抗感を軽減します。

中小企業がDX導入で躓くポイント

中小企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を導入する際には、いくつかの特有の課題に直面します。これらの課題を事前に理解し、対策を講じることが成功への鍵となります。

1. コスト面の問題

DXの導入には、初期投資が必要です。ハードウェアやソフトウェアの購入、インフラ整備、そして従業員の教育・研修費用がかかります。中小企業にとって、この初期コストは大きな負担となることが多く、DX導入を躊躇する一因となります。

対策: 段階的な導入を検討し、まずはコスト効果の高い部分から始めることが重要です。また、政府や自治体が提供する助成金や補助金を活用することも一つの方法です。

2. デジタル技術に対する知識不足

中小企業では、デジタル技術に精通した人材が不足していることが多いです。その結果、DXの必要性や効果を正しく理解できず、導入が進まないケースが見られます。

対策: 外部の専門家やコンサルタントを活用することで、知識不足を補うことができます。また、従業員の教育・研修を通じて社内のデジタルリテラシーを向上させることも重要です。

3. 既存業務との調整の難しさ

新しいデジタル技術を導入する際、既存の業務プロセスとの統合や調整がうまくいかず、業務が混乱することがあります。特に、長年の慣習や方法を変えることに対する抵抗感が強い場合、スムーズな移行が難しくなります。

対策: 現状の業務プロセスを詳細に分析し、新しい技術との統合方法を計画することが必要です。小さな部分から徐々に導入し、成功事例を積み重ねることで、従業員の抵抗感を軽減することができます。

4. トップダウンのリーダーシップの欠如

DXの推進には、経営層の強力なリーダーシップが不可欠です。しかし、中小企業では経営者が日常業務に忙殺され、DX推進のリーダーシップを発揮できないことがあります。

対策: 経営層がDXの重要性を理解し、明確なビジョンを示すことが重要です。また、DX推進の専門チームを組織し、リーダーシップを発揮できる体制を整えることも有効です。

5. 短期的な成果への過度な期待

DXは長期的な視点で取り組むべきプロジェクトですが、短期的な成果を期待しすぎるあまり、導入後すぐに効果が見られないと失望し、プロジェクトが中断されることがあります。

対策: 現実的な目標設定を行い、短期的な成果と長期的な成果をバランスよく評価することが重要です。導入初期は小さな成功を積み重ね、徐々に大きな成果を目指すアプローチが求められます。

DX導入の成功事例:失敗の危機を乗り越えた2つの建設会社

事例1: BIM導入での成功

ある建設会社Aは、設計ミスの多発と工期の遅延に悩まされていました。この問題を解決するために、同社はBuilding Information Modeling(BIM)の導入を決定しました。しかし、初期段階では導入が思うように進まず、プロジェクトは頓挫しそうになりました。

失敗の危機:
  • 従業員の抵抗: 多くの従業員が新しい技術に対する抵抗感を示し、BIMの導入に消極的でした。特に、長年の経験を持つベテランの設計士たちは、従来の方法に強いこだわりがありました。
  • スキル不足: BIMの操作に必要なスキルを持った人材が不足しており、既存のスタッフが新しいシステムを使いこなすまでに時間がかかりました。
成功への転換点:
  • 徹底した教育と研修: 外部のBIM専門家を招き、従業員全員に対する集中トレーニングを実施しました。また、BIMのメリットを具体的に説明し、従業員の理解と協力を得るためのワークショップを開催しました。
  • 段階的な導入: 全てのプロジェクトで一度にBIMを導入するのではなく、小規模なプロジェクトから段階的に導入を進めました。これにより、従業員は新しい技術に少しずつ慣れていきました。
成果:
  • 設計ミスの削減: BIMの導入により、設計図面の精度が飛躍的に向上し、設計ミスが大幅に減少しました。
  • 工期の短縮: プロジェクトの進行がスムーズになり、工期の短縮に成功しました。
  • コミュニケーションの効率化: クラウドベースのプロジェクト管理ツールを併用することで、遠隔地からでもリアルタイムでプロジェクトの進行状況を確認できるようになり、コミュニケーションの効率化にも寄与しました。

事例2: ドローン活用による現場管理の改善

建設会社Bでは、安全管理や資材管理に多くの問題を抱えていました。特に、現場の広さや複雑さから、状況把握が遅れがちで、結果として事故の発生率が高まっていました。この問題を解決するために、同社はドローンの導入を決定しました。しかし、導入初期には予期せぬ困難に直面しました。

失敗の危機:
  • 技術的トラブル: ドローン操作に慣れていないため、操作ミスや技術的なトラブルが頻発しました。これにより、ドローンの活用が効果的に行えず、現場の状況把握に支障をきたしました。
  • コストの問題: 初期投資としてのドローンの購入費用が高く、さらに操作ミスによる修理費用も発生し、コストが膨らむ懸念がありました。
成功への転換点:
  • 専門家のサポート: ドローンの専門家をコンサルタントとして招き、現場でのドローン操作を徹底的にサポートしてもらいました。これにより、操作ミスが減少し、効率的なドローン運用が可能になりました。
  • パイロットテストの実施: 大規模な現場での全面導入前に、まずは小規模な現場でのパイロットテストを実施しました。これにより、現場ごとの特有の問題点を事前に把握し、改善策を講じることができました。
成果:
  • 現場の状況把握の迅速化: ドローンを活用することで、広範な現場の状況をリアルタイムで把握できるようになり、安全管理が大幅に向上しました。
  • 資材管理の効率化: ドローンによる空撮データを活用し、資材の位置や量を正確に把握することができ、無駄な資材の移動や紛失が減少しました。
  • 事故発生率の低減: 現場の状況を迅速に把握し、潜在的な危険箇所を事前に特定することで、事故の発生率が大幅に低減しました。

これらの事例から分かるように、中小建設会社がDXを導入する際には、初期段階での教育や専門家のサポート、段階的な導入などが成功の鍵となります。従業員の抵抗感を和らげ、技術的な課題を克服することで、DXの恩恵を最大限に享受することが可能です。これらのポイントを押さえることで、他の中小企業も同様にDXの成功を収めることができるでしょう。

結論

建設業のDXは、業務効率の向上や競争力の強化に大きく寄与します。中小企業がDXを成功させるためには、現状分析から計画策定、実行、評価と改善までのステップを確実に踏むことが重要です。DXの導入によって、建設業界はさらなる発展を遂げることが期待されます。自社のリソースだけでは、解決できないときは、私たちがきっと役に立つことができると思います。自社の課題の洗い出しなどに活用してもらうために1時間の無料コンサルティングを実施しております。お申込みや↓のバーナーからお願いします。

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